2022.12.01更新
硝子体内注射液 バビースモの説明会がありました
先日、中外製薬株式会社の大久保様より硝子体内用注射液(以下バビースモ)の説明会がありました。バビースモは今年の5月より中外製薬株式会社より販売されており、当院でも導入が検討されております。
正常な血管に置いては、血管安定化因子アンジオポエチンー1(Ang-1)は、ぺリサイト(周皮細胞)から産生され、血管内皮細胞に発現するTie-2受容体に結合して作用します。Ang-1はTie-2受容体に結合し、炎症、血管透過性亢進、血管新生を抑制するとともに、ぺリサイトの被覆を促し、血管安定化を維持・促進する事が知られております。一方、血管不安定化因子Ang-2は正常な血管では産生されませんが、中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)や糖尿病黄斑浮腫(DME)等の病的な状態では産生され、Ang-1/Tie-2の結合を競合的に阻害し、炎症や血管の不安定化をもたらします。又、Ang-2とともに血管内皮増殖因子A(VEGF-A)が増加し、血管透過性亢進及び血管新生を促進します。VEGF-AはAng-2の分泌を促進し、Ang-2はVEGF-Aの感受性を亢進する事で互いに協調して血管不安定化の病態進展をもたらすと考えられています。
バビースモは、眼科領域初のヒト化バイスペシフィックIgG1抗体で、VEGF-Aと結合する抗VEGF-A FabとAng-2と結合する抗Ang-2 Fabが同一分子内に存在するため、1分子でVEGF-AとAng-2を同時に阻害します。その結果、血管新生及び血管透過性亢進を抑制し、血管の不安定化を是正するとともに、VEGF-AとAng-2の協調作用を抑制すると考えられます。臨床試験においてもアフリベルセプトを対照とした比較試験において。バビースモ投与群は本剤6.0mgを導入期として4週ごとに4回投与し、その後維持期においては20週時・24週時の疾患活動性評価に基づき本剤6.0mgを60週まで8週、12週もしくは16週ごとに投与し、アフリベルセプト投与群は4週ごとに3回投与し、その後8週ごとに投与した結果、バビースモ投与群はアフリベルセプト投与群に対しての非劣勢が証明されました。このことからバビースモは維持期においては、アフリベルセプト群よりも少ない投与回数でも同等の効果が得られる、つまり患者さんへの負担が減る事が期待されたいます。
今後も職員一同、日々新たな知識を修得しより良い医療が提供できるよう努めてまいります。ご協力頂いた中外製薬株式会社の大久保様、誠にありがとうございました。 (検査 城間)
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