2020.12.24更新
[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編]2020年12月24日沖縄タイムス掲載
近年、子どもの視力低下が問題になっています。新型コロナウイルスの影響で休校が数カ月続いたこともあり、自宅で長時間にわたりスマートフォン、ゲーム機を見ていたお子さんも多いのではないでしょうか。特に最近は、小学生からタブレットを用いた授業も行われるようになり、年々上がってきていた近視の有病率に拍車をかける可能性も懸念されます。
近視とは、眼内に入った光が網膜よりも手前で焦点を結んでしまい、網膜にピントが合わない状態を言います。網膜に焦点を結ばない原因として、角膜から網膜までの長さ(眼球の長さ=眼軸長)が正常よりも長い場合と、角膜や水晶体の屈折力が大きすぎる場合とがあります。
近視の多くは学童期に発症し、小学校4~5年生にかけて進行が著しく、20歳前後で止まることが多いようです。最近の日本での調査によると、裸眼視力が0・3未満の小学生の割合は、1979年から2015年までの約35年間で3倍以上に増えています。
子どもの目は、9歳頃までに眼球の大きさや形とともに、見る機能や目を動かす機能も発達していきます。その年頃の生活環境が目の発達に大きく影響します。子どもの近視対策としては▽屋外での活動を増やす(1日に2時間以上)▽長時間目を酷使しない(適度な休憩をいれる)▽適切な眼鏡をかける-ことなどがあります。
眼鏡をかけるタイミングは、例えば学校で黒板に書かれた字が見づらくなった時などです。黒板が見えないと、勉強に対する意欲が失われるなど精神面での影響も懸念されます。また、眼鏡をかけることで近視が進むと考える方もおられますが、網膜にピントが合っていないとピントを合わせようと眼軸が伸びて近視になるので、網膜にしっかりピントを合わせて見ることが大切です。
成長期の子どもは、成長とともに顔の大きさも変わり、眼鏡のかけ具合に不快感を生じることもあります。定期的に眼科を受診して、近視の進行がないか、自分の顔にフィットした適切な眼鏡をかけているかのチェックが重要です。(安里良・安里眼科おもろまち駅前=那覇市)
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