2018.06.26更新
アルコンファーマ Web Symposium 『近視進行防止のアプローチ』
アルコン WEBシンポジウム 『近視進行防止のアプローチ』不二門 尚先生(大阪大学大学院医学系研究科・感覚機能形成学 教授)が6月26日(火)糸満院にて行われました。
携帯やパソコンが必需品の現代、とても興味深いプログラムでした。ここ5年の間に小学校低学年のスマホ所有率は30%と1.5倍にもなり、それに伴い年少から近視の割合も増加傾向にあります。近視は進行すると緑内障や黄斑変性、脈絡膜萎縮に繋がり失明に至る事もあります。特に年少では急速に進む様で、生涯にわたって視機能を保つには成長期に少しでも近視進行を抑制することが重要になってきます。
遺伝的因子もありますが、それより環境因子が大きい様です。よって遺伝的素因を持った個体が環境的負荷を受けると近視化は免れません。条件として
遺伝因子・・・①アジア人 ②両親の内1人が近視
環境因子・・・③30cm未満の距離での読書 ④30分以上持続の読書
環境因子の対処策は・・・読書は30cm以上で。書籍は30cm以上を保持可能ですが、スマホとなると20cm程度になりがちで輻輳、調節が入ってしまうので注意が必要です。近見作業も30分毎に一度は2~3分インターバルを入れ眼を休めると良いそうです。
他、一日1時間多く戸外活動することで13%近視を減ずるとの事でした。
当院でも2年前に導入した近視抑制点眼薬マイオピン(アトロピン0.01%)点眼は、近視を有意に抑制し、点眼終了後のリバウンドも少ないとの事です。
オルソケラトロジー(ナイトコンタクト)も海外にて5年間で30%もの眼軸延長抑制効果が認められたことによりガイドラインが改定され、未成年への処方が可能となりました。但し、細菌感染症が懸念されるため、もちろん慎重処方となります。
マイオピンとオルソケラトロジーとの併用使用はさらに効果的との事でした。
遠近両用ソフトコンタクトも非常に有用です。収差の観点から、どうやら近視性の網膜像のボケの方が、遠視性の網膜像のボケより近視を抑制する様です。
また、左右差が大きい近視(不同視)も斜視が発生するケースがあるので、両眼視の維持・眼位の矯正のためにも適切な矯正が必要です。
今回、実際臨床でもよくある、現代を象徴したテーマでした。早速明日から生かせます。大変有意義なシンポジウムをありがとうございました。(担当 末吉)
近視とその治療についてはこちらから↓↓
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