2018.11.12更新
眼科PDT研究会(第23回講習会) in 大阪に参加してきました
平成30年11月11日(日)にホテルマイステイズ新大阪カンファレンスセンターにて、眼科PDT研究会が開催され、それに総院長が出席しました。光線力学的療法(PDT)とは、腫瘍組織や新生血管に集まる性質を持った光感受性物質(ビスダイン)を患者さんに投与し、光感受性物質が集まった箇所(病変部)に弱いレーザー光腺を照射する治療法です。ビスダインを注射すると、ビスダインの成分であるベルテポルフィンは治療目標である脈絡膜新生血管に集まります。その頃合いを見計らって網膜に障害をきたさない程度の弱いレーザー光線を当てます。すると、ベルテポルフィンが作用し、活性酸素を発生させ、新生血管に障害を与えて血管を閉じさせます。ベルテポルフィンは新生血管に集まるので、正常組織への障害は少なく、新生血管のみを治療できることになります。PDTは、加齢黄斑変性症の治療として海外70カ国以上で実施されており、本邦でも2003年5月に認可されました。欧米での臨床試験の結果では、この治療を行った患者さんのほうが、行わない患者さんと比べて視力低下の程度が少ないことが証明されました。また日本の臨床試験では、欧米での成績より、日本人の視力経過の方が良いことがわかっています。ただ、全ての方に有効なわけではなく、すでに黄斑部の網膜の機能が不良となっている場合には、視力の改善は難しいと考えられます。また、薬剤は全身にも循環しますので、注射後一定期間は直射日光などの強い光に当たると、皮膚にやけどの様な副作用が生じることがあります。しかし、薬剤は強い光に当たらなければ害はありません。ただ治療後48時間は直射日光や強い光に当たってはいけませんので、注意が必要です。治療後5日間、直射日光はできるだけ避けていただく必要があります。県内では琉球大学眼科が積極的に行っております。現在、加齢黄斑変性に対しては抗VEGF薬の硝子体注射が第一選択となっておりますが、病態によってはPDTを併用することにより、全体の投与回数を減らせるメリットもあります。当院ではこの治療法は採用しておりませんが、興味のある方は診察の際に聞かれて下さい。(担当 安里)
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