2011.06.22更新
近視とは
■モノが見えるしくみ
目に入ってきた光は、角膜と水晶体を通り屈折して、網膜に像が写し出されます。目はピントを合わせるために、毛様体(もうようたい)により水晶体の厚さを調節しています。また、虹彩(こうさい)により光の量も加減します。
フィルム上に写る像も網膜に写る像も上下左右が逆さまになっています。フィルムの場合は反転させることにより正しい方向にします。目の場合は脳が逆さまになった像を正常とみなすように慣らされているので、正しい方向で見えるように感じます。
○正視
正視では、近いところを見るときは点線のように水晶体がふくらみ、網膜にピントが合います。
○眼軸の長さが長すぎる場合
眼軸の長さが長すぎると、遠くを見たときに水晶体を十分薄くしても、網膜上でピントが合いません。網膜の手前でピントが合ってしまいます。このような近視を軸性近視(じくせいきんし)と呼びます。大部分の近視は軸性近視です。
○角膜・水晶体の屈折力が強すぎる場合
角膜・水晶体の屈折力が強すぎると、遠くを見たときに網膜上でピントが合いません。網膜の手前でピントが合ってしまいます。このような近視を屈折性近視(くっせつせいきんし)と呼びます。
■近視の原因
近視の原因は現在のところ、よくわかっていませんが、遺伝的な要素と環境が関係すると考えられています。
○遺伝的な要因
親が近視の場合、子どもが近視になる可能性は比較的高く、遺伝的な要素が複雑に絡んでいると考えられます。
○環境的な要因
一般的な近視の場合、環境も影響すると考えられています。勉強、読書、パソコンなどディスプレイを見る作業を長く続けていると、目が疲れ、好ましくないのはいうまでもありません。しかし、こういったことが近視の原因になるかどうか、はっきりした証明はありません。
・成長過程に近視になる子どもが多い理由
眼軸の長さは、成長に伴い伸びていきます。新生児は眼軸の長さが短く、たいてい遠視の状態になっていますが、角膜・水晶体の屈折力が強くなっているので、それほどひどくはありません。角膜・水晶体の屈折力は、眼軸の長さが伸びるとともに弱くなり、全体のバランスが調整されるようになります。しかし、環境の影響などでこれらのバランスが崩れると、近視になると考えられています。
■単純近視と病的近視
近視は単純近視と病的近視に大きく分けられます。
○単純近視(学校近視)
遺伝や環境の影響などにより、小学校高学年~中学校くらいで始まる近視を単純近視といいます。病気というより身長や体重と同じ個人差です。在学中に発生することが多いので学校近視ともいわれ、大部分の近視は単純近視です。
○病的近視
ごく一部の近視は、幼児期の段階から始まり進行します。眼軸が異常に長くて近視の度が強いため、メガネをかけてもあまりよく見えるようにはなりません。また、眼球がかなり大きくなっているため、網膜が引き伸ばされて非常に薄くなっており、目をちょっと打っただけで、網膜の中心部がひび割れや出血によって萎縮したり、網膜が眼底から剥がれてくる「網膜剥離(もうまくはくり)」などの症状を起こします。このような近視は病的近視と呼ばれ、発生する原因がまだ不明で、遺伝が関与しているともいわれます。矯正しても幼児が、遠くも近くも見にくくしているようであれば、注意が必要です。
■近視の矯正
近視の人の矯正は、メガネやコンタクトレンズを用いて行われるのが一般的です。単純近視の場合はメガネをかければ正常の視力まで矯正できます。メガネやコンタクトレンズを作る場合は、眼科医に目の病気や異常などを検査してもらい、適切なメガネやコンタクトレンズを処方してもらいましょう。
○近視の矯正方法(凹レンズについて)
近視の矯正には凹レンズを使います。凹レンズは焦点(ピントが合う点)を遠くにする働きがあり、近視の人が適切な度の凹レンズをかけると、網膜にピントが合って遠くがよく見えるようになります。
○メガネについて
近視になったからといって、日常生活に支障をきたさなければ、すぐにメガネをかけなければならないということはありません。黒板の字が見えにくくなるというような不都合が生じてきたらメガネをかけてください。また、メガネを常にかける必要はなく、黒板や遠くを見るときなど必要に応じてかければよいのです。メガネをかけたりはずしたりしても、近視の度が進むようなことはありません。
○コンタクトレンズについて
コンタクトレンズは角膜の表面に接触させて用いるレンズで、メガネをかけたくない人に好まれています。左右の視力に差がありすぎてメガネが使えない場合も矯正でき、メガネのように曇ったりせず、視野が広くなるという優れた点があります。しかし、慣れるまでに時間がかかる、異物感がある、角膜を傷つける場合があるといった欠点もあるため、使用するときは眼科医と相談の上、決めましょう。また、レンズの取り扱いや管理などが大変なので、小学生の間はメガネをかけることをおすすめします。
■近視の治療
近視の治療には、点眼薬を用いる方法と手術的方法があります。点眼薬は、近視状態が一時的な場合に用いられることがあり、また、手術的方法の場合はその安全性を十分に見極める必要があります。これらの方法で治療するときは、眼科医に納得のいく説明を受けてからがよいでしよう。
○近視の治療について
点眼薬を用いる治療法は、近視になりかけの偽近視(仮性近視)の時期に行われることがあります。偽近視は近くを長く見続けた結果、毛様体筋が異常に緊張して水晶体が厚くなり、一時的に近視の状態になっていると考えられるときで、目の調節を休ませる点眼薬を用いる場合もあります。
手術的方法には、角膜周辺部分を放射状に切開する「放射状角膜切開術」やエキシマレーザーを用いて角膜の中心部分を削る「レーザー屈折矯正角膜切除術(PRK)」、「レーザー角膜内切削形成術(LASIK)」などがあります。しかし、強度の近視では効果が弱く、また、安定した視力が得られない場合や後遺症が残る場合もあります。治療を受ける場合は、十分説明を聞いて納得してから受けましょう。
○病的近視の治療について
病的近視は、現在のところ有効な治療方法がなく、研究が続けられています。網膜剥離や眼底出血などが起こらないように注意し、起きた場合は早急に手術する必要があります。
(参天製薬さんより引用)
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